Natural or Cordinater?
サブタイトル
お知らせ PHASE0 はじめに PHASE1-1 偽りの平和① PHASE1-2 偽りの平和② PHASE1-3 偽りの平和③ PHASE2 その名はガンダム PHASE3 崩壊の大地 PHASE4 サイレント ラン PHASE5 フェイズシフトダウン PHASE6 消えるガンダム PHASE7 宇宙の傷跡 PHASE8 敵軍の英雄 (原題:敵軍の歌姫) PHASE9 消えていく光 PHASE10 分かたれた道 PHASE11 目覚める刃 PHASE12 フレイの選択 PHASE13 宇宙に降る星 PHASE14 果てし無き時の中で PHASE15 それぞれの孤独 PHASE16 燃える砂塵 PHASE17 カガリ再び PHASE18 ペイバック PHASE19 宿敵の牙 PHASE20 おだやかな日に PHASE21 砂塵の果て PHASE22 紅に染まる海 PHASE23 運命の出会い PHASE24 二人だけの戦争 PHASE25 平和の国へ PHASE26 モーメント PHASE27 果てなき輪舞 PHASE28 キラ PHASE29 さだめの楔 PHASE30 閃光の刻 PHASE31 慟哭の空 PHASE32 約束の地に PHASE33 闇の胎動 PHASE34 まなざしの先 PHASE35 舞い降りる剣 PHASE36 正義の名のもとに PHASE37 神のいかずち PHASE38 決意の砲火 PHASE39 アスラン PHASE40 暁の宇宙へ PHASE41 ゆれる世界 PHASE42 ラクス出撃 PHASE43 立ちはだかるもの PHASE44 螺旋の邂逅 PHASE45 開く扉 PHASE46 たましいの場所 PHASE47-1 悪夢はふたたび① PHASE47-2 悪夢はふたたび② PHASE48-1 怒りの日① PHASE48-2 怒りの日② PHASE49-1 終末の光① PHASE49-2 終末の光② PHASE50-1 終わらない明日へ① PHASE50-2 終わらない明日へ②
制作裏話
逆転SEEDの制作裏話を公開
制作裏話-はじめに- 制作裏話-PHASE1①- 制作裏話-PHASE1②- 制作裏話-PHASE1③- 制作裏話-PHASE2- 制作裏話-PHASE3- 制作裏話-PHASE4- 制作裏話-PHASE5- 制作裏話-PHASE6- 制作裏話-PHASE7- 制作裏話-PHASE8- 制作裏話-PHASE9- 制作裏話-PHASE10- 制作裏話-PHASE11- 制作裏話-PHASE12- 制作裏話-PHASE13- 制作裏話-PHASE14- 制作裏話-PHASE15- 制作裏話-PHASE16- 制作裏話-PHASE17- 制作裏話-PHASE18- 制作裏話-PHASE19- 制作裏話-PHASE20- 制作裏話-PHASE21- 制作裏話-PHASE22- 制作裏話-PHASE23- 制作裏話-PHASE24- 制作裏話-PHASE25- 制作裏話-PHASE26- 制作裏話-PHASE27- 制作裏話-PHASE28- 制作裏話-PHASE29- 制作裏話-PHASE30- 制作裏話-PHASE31- 制作裏話-PHASE32- 制作裏話-PHASE33- 制作裏話-PHASE34- 制作裏話-PHASE35- 制作裏話-PHASE36- 制作裏話-PHASE37- 制作裏話-PHASE38- 制作裏話-PHASE39- 制作裏話-PHASE40- 制作裏話-PHASE41- 制作裏話-PHASE42- 制作裏話-PHASE43- 制作裏話-PHASE44- 制作裏話-PHASE45- 制作裏話-PHASE46- 制作裏話-PHASE47①- 制作裏話-PHASE47②- 制作裏話-PHASE48①- 制作裏話-PHASE48②- 制作裏話-PHASE49①- 制作裏話-PHASE49②- 制作裏話-PHASE50①- 制作裏話-PHASE50②-
2011/2/28~2011/5/17
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機動戦士ガンダムSEED 男女逆転物語
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何故戦うのか、何故憎しみ合わなければならないのか。
違うもの、己と違うもの、だが、愛せようもあるはずの者。
少年と少女たちの想いは縺れ合い、戦局を動かしていく。
答えを見出すことができないまま。若者達の戦いは、続いて行く。
違うもの、己と違うもの、だが、愛せようもあるはずの者。
少年と少女たちの想いは縺れ合い、戦局を動かしていく。
答えを見出すことができないまま。若者達の戦いは、続いて行く。
3月が終わろうとし、オーブはすっかり秋らしくなった。
とはいえ緯度の低いこの土地は一年中温暖で、寒い地域から見れば秋も冬も夏の延長のように見えるだろうが、オーブ国民にとっては木々が黄色く色づき、空が高くなるこの季節は秋そのものなのだ。
世界のあちこちで火の手が上がり、地球軍とザフトが戦っている事など嘘のように、オーブは今日も平和で、豊かで、穏やかで、優しい。
本島の中心部にある商業地区は人々で溢れ、活気づいていた。
秋の休暇シーズンが始まったので、街は浮き足立っている。
1人の少年が人ごみの中を駆け抜け、時間を気にしていた。
今日は母さんと約束していたのに、学校で友達と新しいゲームの話で盛り上がってたら、すっかり約束の時間を忘れてしまった。
少年は慌てて学校を出ると、取るものもとりあえず走り出した。
(ヤバい…これじゃ10分…いや、15分遅れるかも…)
今朝、母さんから、母さんの上司の子供さんをうちで預かるから、3時に会社に迎えに来るように言われていたのに…
今はもう2時50分。
母さんの会社までは20分はかかる。門まで着いても、そこから先はセキュリティチェックが厳しくて、母さんがゲートに来るまでに5分はかかっちゃう。
(そうなったらまた怒られるな)
少年はちぇ、と自分の迂闊さを責める。
来週、皆で公園にバーベキューキャンプに行く事になってるのに…
僕は、父さんも母さんもすごく忙しいから、別にそんなのいいよって言ったんだけど、妹が「行きたい!どーしても行きたい!」って言ったから、行く事になった。
―― 今日、僕が怒られてキャンプが取り消されたらどうしよう…
少年はチラリと泣きべそをかく妹の顔を思い浮かべた。
(あいつ、きっと泣くだろうな…)
だめって言われないように、今回のミスはちゃんと自分から謝ろう。
少年はその時、前方に何か人だかりができている事に気づいた。
そこまで走ってくると、急いでいるのに気になって足を止める。
人々は、どこかの戦いが映されているテレビに釘付けなのだった。
(なんだ、また戦争か…)
少年はちょっとうんざりした。
戦争が始まってから、父さんも母さんも忙しくて、どちらかが家に帰ってこられなかったり、休みの日も仕事仕事で、どこにも遊びに連れて行ってもらえなくなった。学校でも戦争についての授業ばっかりだ。ナチュラルとか、コーディネイターとか…
僕はナチュラルの皆が嫌いだなんて考えもしてないし、皆だってイマイチ成績のよくない僕のことを、「おまえ、ホントにコーディネイターか?」って笑ってる。誰も誰がナチュラルで、誰がコーディネイターなんて気にしてない。
オーブは、そういう分け隔てをしちゃいけない国なんだから。
どこか僕の知らない遠いところで、憎みあったり殺しあってるナチュラルとコーディネイターの事なんか、僕には関係ない。
「御覧いただいている映像は、今、まさにこの瞬間、我が国の領海から、わずか20kmの地点で行われている戦闘の模様です」
やがて少年は、それが知らない国でも遠いところでもなく、馴染み深いオーブの領海付近で行われているからこそ、大人たちがこうして息を呑んで見守っているのだという事を知った。
―― これ…オーブなの?オーブの海でのことなの?
小さな映像だが、不思議な形をした戦艦が、モビルスーツの攻撃を受けて煙を上げている。彼が見ている間にも戦艦は小さな爆発を起こし、火の手が上がるたびに周りの人が「おお…」と声をあげた。
「政府は不測の事態に備え、既に軍の出動を命じ、緊急首長会議を招集しました」
場面が切り替わって行政府の全体像が映し出され、やがて議場に入る首長たちの中で、少し前までこの国の代表だったウズミと、ウズミの兄で現在の代表でもあるホムラがアップで映った。
「また、カーペンタリアのザフト軍本部、及びパナマの地球軍本部へ強く抗議し、早急な事態の収拾、両軍の近海からの退去を求めています」
再びオーブ近海が映し出され、モビルスーツが戦艦に向かっていく。
1,2,3…全部で4機いる。
少年はよく見える赤い瞳で、画面の中の小さな機影を数えた。
(ザフトのモビルスーツは強いから、地球軍の戦艦なんかあっという間にやられちゃうよ)
戦闘機じゃモビルスーツに太刀打ちできないことなんか、皆もうとっくに知っていた。
少年はしかし、「ん?」と気づいた。
彼のその優れた視力で見たのは、戦艦の上に立ち、4機のモビルスーツを相手に戦っている、もう1機のモビルスーツらしき姿だった。
―― でも、地球軍はモビルスーツなんか持ってないし…
この間、ヘリオポリスがテロに巻き込まれて壊れてしまったけど、最初、ニュースではモビルスーツがどうのこうのって言ってたのに、そのうちあれは何らかのテロだったと変わっちゃって、その後はあんまりヘリオポリスの事件については聞かなくなっちゃったっけ。
アスハ代表が辞任したのはそのすぐ後で、オーブは地球軍に軍事協力をしたってもっぱらの噂だった。父さんと母さんはそんな事はしてない、大丈夫だよって言ってたけど…
戦艦がまた大きく火を噴き、周りからもどよめきが起きる。
少年は、それでも、これは「戦争」がたまたま自分の国の近くを通りかかっただけで、いずれ時間が来れば去っていくと気楽に考えた。
(だって、オーブは戦争をしないと決めたんだ)
ナチュラルもコーディネイターも、一緒に暮らせる国を造ろうって皆で決めて、一生懸命頑張ってるんだから。
少年は画面の中の戦争をもう一回チラッと見て、再び駆け出した。
戦争なんて、バッカみたい。
ゲームならカッコいいし面白いけど、本物なんかバッカみたい。
少年はようやく目的地に着くと、厳重な警備がされたゲートをくぐり、家族用IDをかざして第一エリアへ進んでいく。次のゲートで母の名を告げ、しばらく待っていたら、やがて母が姿を現した。
「遅いわよ!」
やっぱりちょっと怒ってる…少年は言い訳はせず、「ごめんなさい、友達と話してたらつい…」と正直に謝った。これもキャンプのためだ!
「まぁいいわ。母さん、ちょっと遅くなるけど、この子がリュウタ。リュウタ・シモンズ。連れて帰って、お迎えが来るまで一緒に遊んであげてね」
母は自分の影に隠れている子を前に押し出して言った。
リュウタは6歳か7歳になるかならないかのとても可愛い男の子だった。
少年は少しかがんでよろしくと言い、彼ははにかみながらうなずいた。
「7時にはシモンズ氏が迎えに来るからね…お行儀よくしてよ?」
はいはいと少年は答える。あなたの息子は礼儀正しく品行方正です。
「マユは?」
「今日携帯新しくするから、終わったら真っ直ぐ帰るって言ってた」
そう、と母は言い、時計を見て仕事に戻らなくちゃと言った。
父さんも遅くなると思うから、もしお腹がすいたら、マユと何か食べてねと言い残し、じゃあねとゲートの向こうへ消えて行く。
少年は母を見送ると向き直り、「じゃ、僕ん家に行って何かゲームでもしようか」とリュウタに話しかけた。
リュウタはうんと答えてから「お兄ちゃんの名前は?」と尋ねた。
「僕はシン。シン・アスカ」
2人はモルゲンレーテのゲートをくぐり、日が傾きかけた道を歩き始めた。
数ヵ月後、彼の人生を大きく変える過酷な運命を、少年はまだ何も知らない。
とはいえ緯度の低いこの土地は一年中温暖で、寒い地域から見れば秋も冬も夏の延長のように見えるだろうが、オーブ国民にとっては木々が黄色く色づき、空が高くなるこの季節は秋そのものなのだ。
世界のあちこちで火の手が上がり、地球軍とザフトが戦っている事など嘘のように、オーブは今日も平和で、豊かで、穏やかで、優しい。
本島の中心部にある商業地区は人々で溢れ、活気づいていた。
秋の休暇シーズンが始まったので、街は浮き足立っている。
1人の少年が人ごみの中を駆け抜け、時間を気にしていた。
今日は母さんと約束していたのに、学校で友達と新しいゲームの話で盛り上がってたら、すっかり約束の時間を忘れてしまった。
少年は慌てて学校を出ると、取るものもとりあえず走り出した。
(ヤバい…これじゃ10分…いや、15分遅れるかも…)
今朝、母さんから、母さんの上司の子供さんをうちで預かるから、3時に会社に迎えに来るように言われていたのに…
今はもう2時50分。
母さんの会社までは20分はかかる。門まで着いても、そこから先はセキュリティチェックが厳しくて、母さんがゲートに来るまでに5分はかかっちゃう。
(そうなったらまた怒られるな)
少年はちぇ、と自分の迂闊さを責める。
来週、皆で公園にバーベキューキャンプに行く事になってるのに…
僕は、父さんも母さんもすごく忙しいから、別にそんなのいいよって言ったんだけど、妹が「行きたい!どーしても行きたい!」って言ったから、行く事になった。
―― 今日、僕が怒られてキャンプが取り消されたらどうしよう…
少年はチラリと泣きべそをかく妹の顔を思い浮かべた。
(あいつ、きっと泣くだろうな…)
だめって言われないように、今回のミスはちゃんと自分から謝ろう。
少年はその時、前方に何か人だかりができている事に気づいた。
そこまで走ってくると、急いでいるのに気になって足を止める。
人々は、どこかの戦いが映されているテレビに釘付けなのだった。
(なんだ、また戦争か…)
少年はちょっとうんざりした。
戦争が始まってから、父さんも母さんも忙しくて、どちらかが家に帰ってこられなかったり、休みの日も仕事仕事で、どこにも遊びに連れて行ってもらえなくなった。学校でも戦争についての授業ばっかりだ。ナチュラルとか、コーディネイターとか…
僕はナチュラルの皆が嫌いだなんて考えもしてないし、皆だってイマイチ成績のよくない僕のことを、「おまえ、ホントにコーディネイターか?」って笑ってる。誰も誰がナチュラルで、誰がコーディネイターなんて気にしてない。
オーブは、そういう分け隔てをしちゃいけない国なんだから。
どこか僕の知らない遠いところで、憎みあったり殺しあってるナチュラルとコーディネイターの事なんか、僕には関係ない。
「御覧いただいている映像は、今、まさにこの瞬間、我が国の領海から、わずか20kmの地点で行われている戦闘の模様です」
やがて少年は、それが知らない国でも遠いところでもなく、馴染み深いオーブの領海付近で行われているからこそ、大人たちがこうして息を呑んで見守っているのだという事を知った。
―― これ…オーブなの?オーブの海でのことなの?
小さな映像だが、不思議な形をした戦艦が、モビルスーツの攻撃を受けて煙を上げている。彼が見ている間にも戦艦は小さな爆発を起こし、火の手が上がるたびに周りの人が「おお…」と声をあげた。
「政府は不測の事態に備え、既に軍の出動を命じ、緊急首長会議を招集しました」
場面が切り替わって行政府の全体像が映し出され、やがて議場に入る首長たちの中で、少し前までこの国の代表だったウズミと、ウズミの兄で現在の代表でもあるホムラがアップで映った。
「また、カーペンタリアのザフト軍本部、及びパナマの地球軍本部へ強く抗議し、早急な事態の収拾、両軍の近海からの退去を求めています」
再びオーブ近海が映し出され、モビルスーツが戦艦に向かっていく。
1,2,3…全部で4機いる。
少年はよく見える赤い瞳で、画面の中の小さな機影を数えた。
(ザフトのモビルスーツは強いから、地球軍の戦艦なんかあっという間にやられちゃうよ)
戦闘機じゃモビルスーツに太刀打ちできないことなんか、皆もうとっくに知っていた。
少年はしかし、「ん?」と気づいた。
彼のその優れた視力で見たのは、戦艦の上に立ち、4機のモビルスーツを相手に戦っている、もう1機のモビルスーツらしき姿だった。
―― でも、地球軍はモビルスーツなんか持ってないし…
この間、ヘリオポリスがテロに巻き込まれて壊れてしまったけど、最初、ニュースではモビルスーツがどうのこうのって言ってたのに、そのうちあれは何らかのテロだったと変わっちゃって、その後はあんまりヘリオポリスの事件については聞かなくなっちゃったっけ。
アスハ代表が辞任したのはそのすぐ後で、オーブは地球軍に軍事協力をしたってもっぱらの噂だった。父さんと母さんはそんな事はしてない、大丈夫だよって言ってたけど…
戦艦がまた大きく火を噴き、周りからもどよめきが起きる。
少年は、それでも、これは「戦争」がたまたま自分の国の近くを通りかかっただけで、いずれ時間が来れば去っていくと気楽に考えた。
(だって、オーブは戦争をしないと決めたんだ)
ナチュラルもコーディネイターも、一緒に暮らせる国を造ろうって皆で決めて、一生懸命頑張ってるんだから。
少年は画面の中の戦争をもう一回チラッと見て、再び駆け出した。
戦争なんて、バッカみたい。
ゲームならカッコいいし面白いけど、本物なんかバッカみたい。
少年はようやく目的地に着くと、厳重な警備がされたゲートをくぐり、家族用IDをかざして第一エリアへ進んでいく。次のゲートで母の名を告げ、しばらく待っていたら、やがて母が姿を現した。
「遅いわよ!」
やっぱりちょっと怒ってる…少年は言い訳はせず、「ごめんなさい、友達と話してたらつい…」と正直に謝った。これもキャンプのためだ!
「まぁいいわ。母さん、ちょっと遅くなるけど、この子がリュウタ。リュウタ・シモンズ。連れて帰って、お迎えが来るまで一緒に遊んであげてね」
母は自分の影に隠れている子を前に押し出して言った。
リュウタは6歳か7歳になるかならないかのとても可愛い男の子だった。
少年は少しかがんでよろしくと言い、彼ははにかみながらうなずいた。
「7時にはシモンズ氏が迎えに来るからね…お行儀よくしてよ?」
はいはいと少年は答える。あなたの息子は礼儀正しく品行方正です。
「マユは?」
「今日携帯新しくするから、終わったら真っ直ぐ帰るって言ってた」
そう、と母は言い、時計を見て仕事に戻らなくちゃと言った。
父さんも遅くなると思うから、もしお腹がすいたら、マユと何か食べてねと言い残し、じゃあねとゲートの向こうへ消えて行く。
少年は母を見送ると向き直り、「じゃ、僕ん家に行って何かゲームでもしようか」とリュウタに話しかけた。
リュウタはうんと答えてから「お兄ちゃんの名前は?」と尋ねた。
「僕はシン。シン・アスカ」
2人はモルゲンレーテのゲートをくぐり、日が傾きかけた道を歩き始めた。
数ヵ月後、彼の人生を大きく変える過酷な運命を、少年はまだ何も知らない。
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制作裏話 -PHASE26-
逆転DESTINYを書き終えた今、この話を読んだらなんだかジーンとしてしまいました(自画自賛!?)
ご存知の通り、種は3クール以降は総集編と回想バンクの嵐になりますが、2回目の総集編がこのPHASE26です。ミゲルの声を担当し、1クール目のOPと挿入歌「Meteor」(何気に名曲だと思います)を受け持ったTMこと西川がナレーションを務めました。
何を隠そう、8話を見て以来、「面白いから見てごらんよ」と勧められて見たのがこの回でした。初心者にはありがたかった総集編ですが、これまで見ていた人には「ぅおいっ、またか!」だったでしょうね。
そこで、物語もちょうどオーブに舞台が移ったところなので、続編の主人公であるシン・アスカ視点で逆種を見詰めるという、「全編創作」に取り組みました。「原作準拠」を謳っているので、初めてのこの試みはある意味大冒険でした。
実はこの時点では「逆転DESTINY」をやるかやらないか、まだ最終決定を下していなかったのですが(DESTINYを想定して書いてきているのにまだ迷っていたのは、それだけ『DESTINYは大変だ』と思っていたということです)、もし書くなら決めていた事が一つありました。
シン・アスカを主人公として描き、成長させ、活躍させ、最終的にあの作品から救済すること。
だからシンは性別逆転をしていません。
平和な日常からどん底に突き落とされ、苦しみもがき、棘と陰を持つ「強い主人公」にしようと思っていました。
そのためにはその落差を描く必要があります。
だからこのPHASEのシンは、優しい人々に守られ、コーディネイターだのナチュラルだのの差別にも縛られず、自由で、本当に幸せな少年時代を送っています。妹想いのお兄ちゃんで、小さい子にも優しく、友達もたくさんいます。優しくて屈託がないので女の子にもとてももてました。男とか女とか分け隔てなく、ムードメーカーで人気者だったろうなと思ってます。
コーディネイターなので、運動は抜群にできたはず。学習能力が非常に高いことは、逆デスで、フリーダムの撃破時や、臨機応変に戦闘をこなす能力の高さで証明するように心がけました。
なおそれに伴い、アカデミーでも本気を出せば他の追随を許さない(努力を重ねていたレイには惜しくも届かなかった、としました)能力の高さを誇るという描写にしました。逆デスのシンは超優秀なのです。
けれど、逆種の頃のシンはまだまだ呑気でした。
勉強もちゃんとやればできましたが、恵まれた環境にいる本人はあまりやる気がなく、もっぱらゲームや遊びに夢中なので、それが両親の悩みの種でした。本当に、シンの日々は明るく、幸せで一杯でした。
その分、DESTINYでの傷ついたシンはギャップが大きく、それゆえに自分でも満足のいくキャラクターになりました。
この物語は全て創作ですが、テレビのアナウンサーが語っている言葉は、PHASE25でウズミやホムラたち首長が見ていたテレビのアナウンサーのセリフを流用しています。
その時の映像(アークエンジェルのイーゲルシュテルンを避けて飛ぶイージスやデュエル、艦上に小さく見えるストライク)をイメージしながら書きました。
さらに、種デスのPHASE20でシンが思い出していた秋の公園でのキャンプがもうじきだという設定にしてありますが、活用できる回想が少なくて、ろくでもないバンクは多いなんて、種デスも結局は種の轍を踏みまくりですね。
この物語では、平和な国の少年であるシンがこの光景を…まだそれとは知らずに、後の上官であるアスランを、宿敵となるキラを見ている…という密かな因縁を演出したかったのです。
それと同時に種デスでシンが最も敵視するオーブ、そしてカガリ…今後の展開での彼らの描写に気合が入りました。シンにとっては、カガリとオーブとの因縁を解決・昇華する事が一つの大きな成長だと思っていたので、それをきっちりと描きたかったからです。
リュウタ・シモンズは次に出てくるエリカ・シモンズの息子で、本編のPHASE27では電話の相手として、PHASE41では実際にアサギたちと共にいるシーンが出てきます。鉄則にあるように、オリジナルキャラは作らない主義ですから、ちゃんと公式に存在するキャラを利用しました。
明るく、何の不安もなく幸せな生活を送っていた少年が、否応なく過酷な戦争に巻き込まれ、最強の戦士になっていく。
そんな設定を聞いただけでもゾクゾクするのに、なぜあんな事になったのか。その想いが逆転DESTINYを生み出しました。少しでも、「こんな話だったらね」と皆さんの想いと重なる部分があれば幸いです。
ご存知の通り、種は3クール以降は総集編と回想バンクの嵐になりますが、2回目の総集編がこのPHASE26です。ミゲルの声を担当し、1クール目のOPと挿入歌「Meteor」(何気に名曲だと思います)を受け持ったTMこと西川がナレーションを務めました。
何を隠そう、8話を見て以来、「面白いから見てごらんよ」と勧められて見たのがこの回でした。初心者にはありがたかった総集編ですが、これまで見ていた人には「ぅおいっ、またか!」だったでしょうね。
そこで、物語もちょうどオーブに舞台が移ったところなので、続編の主人公であるシン・アスカ視点で逆種を見詰めるという、「全編創作」に取り組みました。「原作準拠」を謳っているので、初めてのこの試みはある意味大冒険でした。
実はこの時点では「逆転DESTINY」をやるかやらないか、まだ最終決定を下していなかったのですが(DESTINYを想定して書いてきているのにまだ迷っていたのは、それだけ『DESTINYは大変だ』と思っていたということです)、もし書くなら決めていた事が一つありました。
シン・アスカを主人公として描き、成長させ、活躍させ、最終的にあの作品から救済すること。
だからシンは性別逆転をしていません。
平和な日常からどん底に突き落とされ、苦しみもがき、棘と陰を持つ「強い主人公」にしようと思っていました。
そのためにはその落差を描く必要があります。
だからこのPHASEのシンは、優しい人々に守られ、コーディネイターだのナチュラルだのの差別にも縛られず、自由で、本当に幸せな少年時代を送っています。妹想いのお兄ちゃんで、小さい子にも優しく、友達もたくさんいます。優しくて屈託がないので女の子にもとてももてました。男とか女とか分け隔てなく、ムードメーカーで人気者だったろうなと思ってます。
コーディネイターなので、運動は抜群にできたはず。学習能力が非常に高いことは、逆デスで、フリーダムの撃破時や、臨機応変に戦闘をこなす能力の高さで証明するように心がけました。
なおそれに伴い、アカデミーでも本気を出せば他の追随を許さない(努力を重ねていたレイには惜しくも届かなかった、としました)能力の高さを誇るという描写にしました。逆デスのシンは超優秀なのです。
けれど、逆種の頃のシンはまだまだ呑気でした。
勉強もちゃんとやればできましたが、恵まれた環境にいる本人はあまりやる気がなく、もっぱらゲームや遊びに夢中なので、それが両親の悩みの種でした。本当に、シンの日々は明るく、幸せで一杯でした。
その分、DESTINYでの傷ついたシンはギャップが大きく、それゆえに自分でも満足のいくキャラクターになりました。
この物語は全て創作ですが、テレビのアナウンサーが語っている言葉は、PHASE25でウズミやホムラたち首長が見ていたテレビのアナウンサーのセリフを流用しています。
その時の映像(アークエンジェルのイーゲルシュテルンを避けて飛ぶイージスやデュエル、艦上に小さく見えるストライク)をイメージしながら書きました。
さらに、種デスのPHASE20でシンが思い出していた秋の公園でのキャンプがもうじきだという設定にしてありますが、活用できる回想が少なくて、ろくでもないバンクは多いなんて、種デスも結局は種の轍を踏みまくりですね。
この物語では、平和な国の少年であるシンがこの光景を…まだそれとは知らずに、後の上官であるアスランを、宿敵となるキラを見ている…という密かな因縁を演出したかったのです。
それと同時に種デスでシンが最も敵視するオーブ、そしてカガリ…今後の展開での彼らの描写に気合が入りました。シンにとっては、カガリとオーブとの因縁を解決・昇華する事が一つの大きな成長だと思っていたので、それをきっちりと描きたかったからです。
リュウタ・シモンズは次に出てくるエリカ・シモンズの息子で、本編のPHASE27では電話の相手として、PHASE41では実際にアサギたちと共にいるシーンが出てきます。鉄則にあるように、オリジナルキャラは作らない主義ですから、ちゃんと公式に存在するキャラを利用しました。
明るく、何の不安もなく幸せな生活を送っていた少年が、否応なく過酷な戦争に巻き込まれ、最強の戦士になっていく。
そんな設定を聞いただけでもゾクゾクするのに、なぜあんな事になったのか。その想いが逆転DESTINYを生み出しました。少しでも、「こんな話だったらね」と皆さんの想いと重なる部分があれば幸いです。