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Natural or Cordinater?
サブタイトル

お知らせ
PHASE0 はじめに 
PHASE1-1 偽りの平和①
PHASE1-2 偽りの平和②
PHASE1-3 偽りの平和③
PHASE2 その名はガンダム 
PHASE3 崩壊の大地
PHASE4 サイレント ラン
PHASE5 フェイズシフトダウン
PHASE6 消えるガンダム
PHASE7 宇宙の傷跡
PHASE8 敵軍の英雄
(原題:敵軍の歌姫)
PHASE9 消えていく光
PHASE10 分かたれた道
PHASE11 目覚める刃
PHASE12 フレイの選択
PHASE13 宇宙に降る星
PHASE14 果てし無き時の中で
PHASE15 それぞれの孤独
PHASE16 燃える砂塵
PHASE17 カガリ再び
PHASE18 ペイバック
PHASE19 宿敵の牙
PHASE20 おだやかな日に
PHASE21 砂塵の果て
PHASE22 紅に染まる海
PHASE23 運命の出会い
PHASE24 二人だけの戦争
PHASE25 平和の国へ
PHASE26 モーメント
PHASE27 果てなき輪舞
PHASE28 キラ
PHASE29 さだめの楔 
PHASE30 閃光の刻
PHASE31 慟哭の空
PHASE32 約束の地に
PHASE33 闇の胎動
PHASE34 まなざしの先
PHASE35 舞い降りる剣
PHASE36 正義の名のもとに 
PHASE37 神のいかずち
PHASE38 決意の砲火
PHASE39 アスラン
PHASE40 暁の宇宙へ
PHASE41 ゆれる世界
PHASE42 ラクス出撃
PHASE43 立ちはだかるもの 
PHASE44 螺旋の邂逅
PHASE45 開く扉
PHASE46 たましいの場所
PHASE47-1 悪夢はふたたび①
PHASE47-2 悪夢はふたたび②
PHASE48-1 怒りの日①
PHASE48-2 怒りの日②
PHASE49-1 終末の光①
PHASE49-2 終末の光②
PHASE50-1 終わらない明日へ①
PHASE50-2 終わらない明日へ②
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機動戦士ガンダムSEED 男女逆転物語
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「今度も、無事で…」

母さん、ごめんね。

拍手


「目下の情勢の最大の不安材料は、パナマだ。ザフトに大規模作戦ありという噂のおかげで、カーペンタリアの動きはかなり慌ただしい」
着々と整備が進むアークエンジェルに、久々にキサカがやってきた。
髪を縛り、見事な体躯を軍服の下に隠した堂々とした士官ぶりだった。
「どの程度までわかっているのですか?」
ナタルが尋ねた。
パナマには現在唯一稼動しているマスドライバーがあり、当然地球軍もそこを狙われれば死守しようと必死になる。果たして作戦決行はあるのか、あるとしたらいつ頃なのか。
「さあな。オーブも難しい立場にある。情報は欲しいが、ヤブヘビはごめんでね」
このところの内憂でオーブ政権も磐石というわけではない。
コーディネイターを受け入れているということでオーブの政策を評価しているプラントはそれほどでもないが、連合からの突き上げは日々厳しさを増している。
「だが、アラスカに向かおうというきみらには、かえって好都合だろう」
「万一追撃があったとしても、北回帰線を越えれば、すぐにアラスカの防空圏ですからね。奴らもそこまでは、深追いしてこないでしょう」
ノイマンが、ここのところシミュレートしてきた航路に自信を持って答えた。
北太平洋に入りさえすれば、もう戦闘などなく順調に行けるはずだ。
「ここまで追ってきた、例の部隊の動向は?」
今度はマリューがアスランたちについて尋ねた。
オーブ軍は海岸線から領海から全てを念入りに哨戒してきたが、 一昨日から艦影はない。
「…引き揚げた、と?」
「また外交筋では、かなりのやり取りがあったようだからな。そう思いたいところだが…」
この艦長がそんな事を信じていない事はわかる。
大体、自分だってそんな事を信じはしないとキサカは思っていた。
キサカはオーブ領海域での連中の食い下がりぶりを思い出して言った。
「やつらのことだ。今頃こっちの動きを視ているだろう」

その時、黙りこくっていたナタルが唐突に口を開いた。
「アスハ前代表は当時、この艦とモビルスーツのことはご存知なかったという噂は、本当ですか?」
その大胆な質問に、マリューは息を呑む。
ナタルはいつもこうだ。核心を突くことを恐れない。
それが彼女のよさであり、欠点でもあるのだけれど…
「確かに、前代表の知らなかったことさ」
キサカは特に様子も変わらず、彼女の質問に答えた。
「一部の閣僚が大西洋連邦の圧力に屈して、独断で行ったことだ。モルゲンレーテとの癒着も発覚した」
サハクの動きや、他にもセイランなど、連合と通じていると思われるフシのある首長は多い。
(それに)
キサカは人知れず考えていた。
(ウズミ様とて、決して全てを知らなかったわけではないかもしれぬ。それは誰にもわからんが)
「オーブの陣営を明らかにするべき…と言う者たちの言い分もわかるのだがな。そうして巻き込まれれば、火の粉をかぶるのは国民だ」
ヘリオポリスのように…キサカはアークエンジェルが破壊の一端を担ったヘリオポリスの名を出した。
シェルターや宇宙船に避難し、あのデブリの嵐の宙域で漂流していた避難民を救出に向かったのは、彼らオーブ軍だ。
「それだけはしたくないと、ウズミ様は無茶を承知で今も踏ん張っておられるのさ。きみらの目には甘く見えるかもしれんがな」
黙り込んだアークエンジェルのクルーを見て、キサカはふと笑った。
(こんな言葉程度で動揺するなど、まだまだ甘い。しかしこれが若さというものなのかもしれん)
「修理の状況は?」
「明日中には、と連絡を受けております」
そうか、とキサカは言ってブリッジを眺める。
彼とて3週間はこの艦に命を預けたのだ。
よく戦った、というようにキサカは頷いた。
「あと少しだな。頑張れよ」
 
艦を辞そうとする彼を、「キサカ一佐」とマリューが呼び止めた。
「ん?」
「本当に色々と、ありがとうございました」
マリューは彼に、深々と頭を下げた。
その姿に驚いたキサカが、(本当にこの人は…)と心の中で苦笑した。
軍人としては明らかに冷徹さを欠き、時には愚鈍にさえ思える彼女だが、反面その包容力と優しさが明日をも知れぬクルーの救いになっていた事は、戦争とは無縁なはずの中立国にあってなお、百戦錬磨のキサカにも十分わかっていた。
「いや、こちらも助けてもらった。既に家族はないが、私はタッシルの生まれでね」
「え!?」
マリューのみならず、この言葉にはナタルやノイマンもさすがに驚いた。
バルトフェルドに焼かれ、破壊されてしまった街…あれが、彼の故郷だったのだ。
「一時の勝利に意味はないとはわかってはいても、見てしまえば見過ごすこともできなくてな。それに、暴れん坊の家出坊主をようやく連れ帰ることもできた。こちらこそ礼を言うよ」
キサカは思いがけないほど優しそうな眼で笑い、そして敬礼した。

「ったく、どういうつもりなんだか!」
バフッとベッドに身を預け、イザークが退屈そうに言う。
(まーた戻ってきたよ…)
この間オーブで手に入れたレトロなグラビア雑誌を見ながら、ディアッカは心の中でため息をついた。
イザークはさっきから出たり入ったりと落ち着かない。
(退屈なのはわかるけどさ、何かやる事を見つけりゃいいのに…)
しかし口からはイザークに同意する言葉が出るのは哀しい性だ。
「マジだよねぇ。ほんとに補給まで受けちゃってさ」
イザークはすぐにベッドに起き上がり、胡坐をかいて座ると、ブスッとしながら先日のブリーフィングを思い出した。

「足つきはオーブにいる。間違いない。出てくれば北上するはず。ここで網を張る」
 アスランはそれだけ言ってカーペンタリアに補給要請をしたと言う。
「あ?おいちょっと待てよ!何を根拠に言ってる話だ、そりゃ!?」
イザークはキツネにつままれたような顔で抗議した。
さすがのニコルも「一度カーペンタリアに戻って情報を洗い直した方が…」と提案したが、アスランは「必ずいる」の一点張りだった。

―― あの女…まったくもって頑固で融通が利かない。

イザークは凛としたアスランの顔を思い浮かべてちっと舌打ちし、それから喚いた。
「そう思うなら、どうして何も説明しない?なんで1人で決めるんだ?いくら隊長だからって…」
「そうだよなぁ」
ディアッカはさかんに頷いて聞いているふりをした。
「これでもうここに2日だ!違ってたら足つきはもう遙か彼方だぞ!」
そう言いながらまたベッドにひっくり返ったイザークを見て、ディアッカはボソッと言った。
「ノシちゃう気なら手貸すよ。どうする?クーデターやる?」
「…っ!」
イザークはその言葉に驚いて半身を起こし、ディアッカを見つめた。
「何しろ女の子だからねぇ。色々楽しめると思うよ?俺ら2人でかかれば、さ…」
くくく…と笑うディアッカの腹黒い発言に、逆にイザークの方が動揺した。
「貴様、何を…」
「たまにはおいしい思いしてもいいんじゃない?」
(こいつ…口先だけか?それとも意外と本気で言ってるのか…?)
イザークの眼が泳ぐのを、ディアッカは面白そうに雑誌の陰から見ていた。
訓練ならまだしも、無下に女性に手を出すなんてことがお坊ちゃまのこいつにできるはずがない。
その動揺っぷりに笑い出しそうになるのをこらえながら、ディアッカは素知らぬ顔で見てもいないページをめくった。 
「ふん!残念ながら、それほど単純な頭でもないんでね」
「あら、そいつは残念」
思ったとおり、イザークはくるっと寝返りを打って言い捨てた。
ディアッカは急に静かになったイザークを見て、(ウブなんだよなぁ、イザークって)とペロッと舌を出した。
これでようやく落ち着ける。

「カガリ・ユラ・アスハ…」
そんな悪童どもの標的になりかけているとも知らず、浮上した潜水艦のデッキで物資を積み終えた補給艦の離艦作業を見守っていたアスランは、カガリの事を思い出していた。
(ちーがーうー!)
「確かに地球軍ではなかったけど…」
(まさか本当に深窓の王子様だったとはね)
そのカガリの国が、キラたちを庇った。
アスランはカガリの屈託のない笑顔を、キラの泣きそうな瞳を思い出し、不愉快そうに眉根を寄せた。
(中立のくせに、結局地球軍に加担してるんじゃない)
オーブで、モルゲンレーテの作業着を着ていたキラ。
雨の降る南の小島で、イージスを撃とうとしたカガリ。
アスランは揺蕩う波を見つめながら思う。
(やっぱり、あんなやつの言う事なんか信用できない)
アスランは軍服の上から、軍医が驚くほど手際よく手当されていた脇腹の傷に触れた。
もう痛みはない。傷も綺麗なもので、再生医療を受ければ簡単に消えてしまうだろう。
思わずぶん殴ってしまったあの時、カガリは手で目隠しをしながら慌てて飛び退った。
「すまない!わ、悪気はない!」
真っ赤になった彼が謝ったあとは、2人の間には気まずい沈黙が流れた。
その後は用心してまんじりともしなかったアスランは何度か相手を窺ったが、カガリは膝を抱えてうつらうつらと眠っているようだった。やがて朝が来て、2人は別れた。
(結局…お礼…言いそびれた…)
あーあ、と顔を上に向けたアスランに、ニコルが駆け寄ってきた。
「補給、終わったんですね」
「ええ」
甲板に護衛のディンが立つ補給艦は、既に離脱していた。
「向こうのデッキから、トビウオの群れが見えますよ?行きませんか?」
さっきから好奇心の塊となって走り回っているニコルは、イルカだのアジサシの群れだの、何か見つけるたびにアスランに報告に来ていた。
他の生き物同様、トビウオの群れに興味のないアスランがもごもごと言葉を濁すと、ニコルは隣に立って言った。
「不安…なんですか?」
ニコルは柵に掴まり、腕を伸ばしたり縮めたりする。
「もしかしたら、イザークの言うように足つきはもう、オーブにはいないのかも…って思ってるんですか?」
アスランは返事に困ってしまう。
いるのだ…足つきはオーブに。けれどそれは誰に言えない。
「大丈夫ですよ。僕はアスラン…じゃない、隊長を信じてます!」
ニコルがにっこりと笑うので、アスランも仕方なく笑った。
無邪気で、優しくて、子供っぽいところもあるけれど、思慮深く、見かけよりずっとしっかりしているニコル。
アスランはふと気になって尋ねた。
「ニコルは、どうして軍に志願したの?」
「え…?」
ニコルが驚いたような顔で見る。それを見て、アスランは慌てて、「ごめん、余計な事よね」と質問を引っ込めようとした。
しかし実はニコルにとってこの言葉はとても嬉しいものだった。
アスランが自分に興味を持ってくれた…それだけで天にも昇りそうだ。
「戦わなきゃいけないな、僕も…って思ったんです」 
ニコルは美しい海の彼方に眼をやりながら、正直な気持ちを吐露した。
「ユニウスセブンのニュースを見て、たくさんの罪のない人が死んで、それ以上に悲しむ人がたくさんいて…こんな事させちゃいけないって思ったんです。戦わなくちゃって」
そう言ってからアスランを見ると、アスランは真っ直ぐニコルを見つめていた。
ニコルは驚き、途端に心臓が張り裂けんばかりにドキドキし始めた。
「え、えっと…アスランは…どうして?」
慌てて同じ質問を返したニコルに、アスランはにこっと微笑んだ。
「私も、ニコルと同じ」
「あ…」
こうして今、自分だけを見つめて微笑む彼女を、力一杯抱きしめたい…それが決してかなわぬ夢だと知るニコルは、その想いにじっと耐えた。

アークエンジェルの修理が終わり、翌朝早くに出航という前日。
カガリはアスハ邸の自室で、自分の銃を手入れしていた。
考えるのは、アークエンジェルのこと。ストライクの…キラのこと。
彼らについていくか、それとも残るか…カガリはふっと息をつく。
(俺が取るべき道はどっちだろう?)
その時、ノックの音がしてウズミが現れた。
部屋に入って来たウズミは、銃の手入れをしている息子を見て「カガリ」と名を呼んだ。
「あの艦と共に行くつもりか?」
「…」
カガリは答えない。手を止めて、考え込むような顔をしている。
「地球軍の兵としてプラントと戦うか?」
ウズミがゆっくりとカガリに近づいてくる。
「おまえはそれほどまでに戦いたいか?」
「違う。俺は戦いたいわけじゃない」
カガリは落ち着いて答えた。
「助けたい、と思うんだ…あいつらを…キラを…」
彼の口からキラの名が出たことに、ウズミが眉をひそめる。
「それに何より、戦いを終わらせたい」
「おまえが戦えば、この戦争は終わるのか?」
ウズミは「おまえは何もわかっていないな」と頭を振った。
「銃を撃ち、戦闘機やモビルスーツに乗り、コーディネイターを殺し、そしてどうやって終わらせるのだ。相手を皆殺しにすれば終わるのか?」
「そんな…!」
カガリは虎と同じことを言うウズミに対し、ぐっと答えに詰まる。
「おまえが誰かの夫を討てば、その妻はおまえを恨むだろう。おまえが誰かの息子を討てば、その母はおまえを憎むだろう。そしておまえが誰かに討たれれば、私はそいつを憎むだろう…」

―― こんな簡単な連鎖がなぜわからん!

ウズミはカガリを一喝した。
「戦いが続けば連鎖はさらに長く、重くなっていくだけなのだ。どこかでこれを断ち切らなければ…手遅れになる前に!」
「でも…この国で俺だけのうのうと…」
「そんな安っぽい、独り善がりな正義感で何ができるか!!」
ウズミは怒鳴り、カガリは思わず眼を逸らした。
(戦っても終わらないよ、戦争は)
キラの言葉が心を過ぎる。
(多分、そうなんだろうな…俺が戦ったって、世界は何も変わらない)
「銃をとるばかりが闘いではない」
ウズミは静かに言った。
「戦争の根を学べ、カガリ」
そう言って、父はカガリの肩をポンと叩いた。

「おまえの闘いは、ここにある」

カガリは父を見て、それから呟いた。
「俺の…闘い…」
「為政者として成すべき道を知れ。国を守る術を身につけよ。討ち合っていては、何も終わらん。それを終わらせるため、民のために我々はあるのだ」
しばらく考え込んだカガリは、やがて銃を置いた。
国を導いていくことの厳しさ、難しさ…自身が戦場を見てきて想うのは、戦う事では戦いは終わらなかったということ。
戦いを終わらせるための闘いは、戦場にのみあるのではない。
「…そうかもしれないな…」
探し続けた自分自身の戦場は、きっとここなのだ。

「大丈夫ですってば。シミュレーションだってもうバッチリ!」
トールは「やれますよ!」とハンガーで意気込みを語っていた。
マードックは渋々、整備の終わったスカイグラスパーを見ながら言う。
「こいつが2機出られりゃ、確かに助かるでしょうがねぇ。地上だと、ストライクはきついから」
ただねぇ…と、彼はその場で最も階級の高いフラガをチラリと見た。
「落とされたとはいえ、あの金髪の坊…っちゃんくらいには乗りこなせないと、いきなり戦場はきついと思いますよ?」
「大丈夫ですってば!」
それを聞いてトールはさらに息巻いている。
「でも、トール…」
キラは心配でならない。
トールは「心配すんな!」とキラの背中を叩いた。
「ストライクの支援と、上空監視だけだよ。ちゃーんと援護するから、おまえは俺に従ってあいつらを叩けばいいのさ」
「バジルール中尉の命令?」
そんなやり取りを聞いていたフラガが、ふぅとため息と共に尋ねた。
「志願したんですよ。俺だって、頑張んなきゃ!」
得意げに小鼻を膨らませ、トールは胸を張った。
「俺も役に立たなきゃって。キラの負担を、少しでも減らしたかったし」
フレイとの破局で砕けてしまったキラの心に、トールの優しさが沁みた。
トールはいいヤツだ…明るくて、優しくて、勇敢で…
「でも、やっぱり心配だよ」
「へーきへーき!」
キラは、いつものように明るく朗らかにフラガとマードックを説得するトールを見守っていた。

「注水始め!」
ドックに膨大な水が溜められていき、アークエンジェルを浮力で浮かす。
いよいよ出発の時が近づいていた。システムはオールグリーン。
あれほどのダメージもオーブの優れた技術で全て完璧に修理され、まるで新品のように生まれ変わったアークエンジェルが美しい。
「オーブ軍より通達。周辺に艦影なし。発進は定刻通り」
マリューはパルに、「了解したと伝えて」と合図する。
「護衛艦が出てくれるんですか?」
「隠れみのになってくれようってんだろ」
サイが尋ねると、トノムラが操作を続けながら答えた。
「艦数が多い方が特定しにくいし、データなら後でいくらでもごまかしが効くからな」
(それにしたってすごい数…)
モニターを見てサイは思う。
「ドック内に、アスハ前代表がおみえです」
その時、ミリアリアが制御室からの通信をマリューに伝えた。
「ヤマト少尉を上部デッキへ出して欲しいと言われてますが…」
「あら」
マリューは大急ぎでキラを呼び出すよう命じた。

「キラ!」
何が何だかわからないままに、デッキに上がったキラは、キャットウォークを走ってくるカガリに気づいた。
カガリはいつものラフな格好でもスーツ姿でもなく、オーブ軍の軍服に身を包んでいたので、キラは少し驚いた。
それは彼が父と約束した、「自分の戦場で闘う」という意思表示だった。
「カガリ!?どうして?」
「おまえのっ…ご両親っ…あそこにっ!」
カガリは息を切らしながら、司令室の指をさした。
「え…あ!!」
キラが振り返ると、ガラス張りの部屋の向こうで、ウズミと共に父と母が心配そうにこちらを見ていた。
母はキラと眼があうと泣き出し、父に背中を支えられている。
「おまえ、どうして会って、あげないんだよ?」
階段を走って下りてきたカガリは、膝に手をつき、荒い息をしながら尋ねる。
「可哀想だろ、お父さんもお母さんも…せっかく無事だったのに」
「今は、ごめん…って伝えてくれる?」
キラの震える声に、カガリは「え?」と顔を上げた。
「今は…私…」
父と母を見つめるキラの紫の瞳が、涙で一杯になる。
(会いたかったくせに、我慢して会わずにいたんだな…)
そして、俺はこいつをまた一人ぼっちにしちまう、とカガリは思う。
「わかった」
カガリがそう答えると、キラはぐいっと涙をぬぐった。
「カガリも元気で。その…色々、ありがと」
涙で濡れた眼でキラが笑うと、カガリもいたずらっぽくニッと笑う。
「キラ!」
「わっ…」
カガリがキラを力いっぱい抱き締めたのだ。
キラはびっくりしつつも、またあの不思議な心地よさに身を任せ、カガリの背に手を回した。
懐かしく優しい彼のぬくもりが、傷んだ心に沁みていく。
一方司令室でそんな2人を見た親たちは、驚いて声もなかった。
「おまえ…死ぬなよ?」
「ん…大丈夫。もう大丈夫だから」
2人は名残惜しそうにしばらく抱き合い、やがて身体を離すとにっこりと笑いあった。
「じゃあな。また会おう、キラ」
「うん。またね」

「演習ですか?」
多くの艦影を捉えたボズゴロフの艦長にアスランが尋ねる。
「スケジュールにはないがな。北東へ向かっている。艦の特定まだか?」
アスランは「ついに来た」と悟り、戦闘準備に入ると伝えた。

「間もなく領海線です」
トノムラが食い入るようにモニターとソナーを見つめている。
「警戒は厳に!艦隊離脱後、離水、最大船速」
マリューが皆に緊張を促す。艦隊が去れば、そこから先は緩衝海域だ。
「艦隊旗艦より入電。我是ヨリ帰投セリ。貴艦ノ健闘ヲ祈ル」
カズイが手向けの言葉を伝え、マリューは大西洋連邦の人間らしく「エスコートを感謝する、と返信を」と答えた。

ハンガーでは既にキラがスタンバっている。
マードックが不思議そうに「まだ何も命令出てねぇぞ?」と言うが、キラは穏やかに笑い、調整のため3Dキーボードをいくつも操りながら答えた。
「領海を出れば、ザフトの攻撃、始まります」
(彼らが来る…アスランは、私を見た。だから、来る)

「敵艦隊より、離脱艦あり。艦特定、足つきです!」
「なんだと!?」
ボズゴロフのオペレーターの声に、イザークがまさかとばかりに声を上げる。
「ひゅ~♪やるねぇ」
「当たりましたね、アスラン」
ディアッカがパチンとウィンクし、ニコルも喜んでアスランを振り返ったが、アスランは今までになく厳しい顔つきで、全員に出撃を命じた。
VLSハッチからモビルスーツが飛び出し、それぞれのグゥルに乗る。
「今日こそ足つきを落とす!」
ようやく叶った仕切りなおしに、隊長と3人は意気揚々と戦場に向かった。
 
「レーダーに反応!数3、いや4!」
突如アラートが鳴り響き、パルが現れた敵を確認する。
「機種特定、イージス、バスター、ブリッツ、デュエル!」
「潜んでいた?網を張られたのか!?」
しかしこれは誰もが想定している事だったので、ブリッジはすぐに戦闘態勢に入った。ただ相手の網の位置が正確過ぎただけなのだ。
「第一戦闘配備。対艦、対モビルスーツ戦闘用意!」
マリューは全艦に告げた。
「北回帰線付近まで逃げ切れればいい!厳しいとは思うが、各員健闘を!」
「ECM最大強度!スモークディスチャージャー投射!両舷、煙幕放出!」
ナタルはこれまで使用したことのない煙幕を張る。
スモークに巻かれる中、ストライクが出撃して艦上に立った。
その手には調整の終わった巨大なレーザー砲、アグニがある。
「コンジット接続。補助パワーオンライン。スタンバイ完了」
キラは眼を閉じて集中力を高めてから、眼を開けてパネルを操作した。
(私は戦うよ、アスラン。アークエンジェルは、沈めさせやしない)

「そう緊張するな」
フラガが1号機から声をかけると、トールはふーっと息を吐いた。
「上空からストライクの支援だけやればいい。戦うのは俺とキラだからな。気楽にいけよ、坊主」
やがてフラガ機の発進準備が整った。
「行くぞ!落ちるなよ!」
「はい!」
先に出た少佐に続き、次は2号機の準備が整う。
「進路クリアー。スカイグラスパー2号機、ケーニヒ機、発進!気をつけてね!」
ミリアリアはトールをオペレーティングしつつ、心配そうに言った。
次の瞬間、トールはすさまじいGに唸った。

「煙幕!?」
煙を吐く足つきを、ディアッカが怪訝そうに見た。
ECMが強力すぎて、この距離でもレーダーやレーザーが全く言う事を利かない。
「チッ!姑息な真似を!」
イザークはスカイグラスパーが2機飛び出したことを視認すると、ライフルでおざなりに撃った。あんな戦闘機などどうでもいい…
(ストライクは、ヤツはどこにいる!?)

ストライクしか見ていないイザークのおかげで大した攻撃も受ける事がなかったフラガとトールは、作戦決行ポイントまでやってきた。
「よし!悪くないぞ!ストライクの支援、任せる!」
「はい!」
華麗に急ターンして戻るフラガを、トールは高度を保ちながら見送った。
「こちら、スカイグラスパー、ケーニヒ!ストライク、聞こえるか?敵の座標と、射撃データを送る!」
「了解!」
煙幕で姿を隠したストライクにも、相手がどこにいるのかはわからない。
上空から4機の位置を知らせるのが、今回のトールの役目なのだった。 
位置を確認したキラは、その座標めがけて正確にアグニを放つ。
キラから見たら真っ白な煙幕の中に撃ち込むだけなのだが、旋回しながら攻撃の糸口をつかもうとしていた4機は、煙幕の中から突然放たれたビームに動揺を隠せなかった。
「散開!」
アスランが冷静な声で命ずると、赤服たちは素早く四方に散った。
同時に、足つきの激しい艦砲射撃も始まった。
その時、風が流れて艦上のストライクの姿が垣間見える。
それはバスターとデュエルが分かれた方角だった。
「ストライク!!」
行き過ぎたデュエルより、仇敵の近くにいたのはバスターだった。
「こっから先へは行かせねぇよ!」
ディアッカはランチャーとライフルを構えなおして撃ったが、ストライクの姿はすでにそこにはなく、気づいた時にはジャンプしたストライクに思い切り蹴り飛ばされていた。
「ぐっ…くそっ!!」
「このぉ!!」
体を反転させていたデュエルは、海に落ちたバスターを見て咄嗟にグゥルからの機銃と頭部イーゲルシュテルンを放った。
しかしそんな不安定な状態では、バスターのグゥルを踏み台にこちらに向かってきたストライクにダメージを与えることなどできるはずもない。ランチャーでグゥルを撃たれ、バランスを崩したデュエルもそのままあっけなく海中へと没した。
「イザーク!」
(ストライク…キラ…相変わらずムチャクチャな戦い方をする)
再び煙幕の中に姿を消したストライクのアグニを避けながら、イージスとブリッツは攻撃のチャンスを狙っていたが、その時、アグニを構えて彼らを狙うストライクの後ろに、真っ白な巨艦が姿を現した。

「…足…つき…!?」

威風堂々たるその艦体は、息を飲むほど美しく、禍々しい。
2人はその艦が、自分たちをロックしていることに気づいて震撼した。
主砲ゴットフリートの砲口は、完璧に彼らを射線上に捉えている。
「バリアント、撃ぇ!」
「避けて、ニコル!」
さらに、バリアントやイーゲルシュテルンが容赦なく彼らを襲い、イージスとブリッツのエネルギーを否応なく削っていった。
「こいつ!」
逃げ惑うブリッツが目測でライフルを放ったが、手応えはない。
この時、アスランは悟っていた。
待ち構えていたはずの自分たちこそが、最初から敵の作戦にはまっていたのだと。
足つき、ストライク、戦闘機…彼らの動きは見事な連携の中にあったのだと。
初めは操舵すらもおぼつかなかった艦が、過酷な戦いを乗り越え、こうまで進化するものなのか…アスランは歯噛みする想いだった。

アークエンジェルのブリッジではてきぱきと次の手順へと移っていた。
ナタルが組み立て、ブリッジ要員はもちろん、フラガ、キラ、そしてルーキーのトールたちが何度も打ち合わせた戦法だ。
死線をくぐり抜け、勝ち抜き、生き抜いてきたクルーの結束は堅い。
「ベクトルデータをナブコムにリンク!ノイマン少尉、操艦そのまま!」
ナタルがノイマンに命じ、ノイマンは「了解!」と舵をロックした。
「ストライク!エールへの換装、スタンバイです!」
ミリアリアがキラにそう伝えると、キラはアグニをマウントする。
「プレゼントを落とすなよ!」
スカイグラスパーが急速に近づいてくる。換装準備完了だ。
「少佐!どうぞ!」
キラはブースターをありったけふかして飛び上がると、フラガ機のスピードに合わせてランチャーストライカーを捨て、落ちてきたエールへと素早く換装した。見事な手際に、アスランは言葉もない。

「あいつ、空中で換装を!?」
ニコルは呆気に取られたが、キラは早くもビームサーベルを抜いて彼を待ち構えている。
スモークが再び風で流れ、ブリッツは視認したストライクに向かっていった。
身軽になったストライクはより高く飛ぶと、ブリッツと対峙した。
「ニコル!」
それを見て援護に向かおうとしたイージスは、もう1機のスカイグラスパーに阻まれ、近づく事ができなかった。
「ええぃ!」
ニコルはサーベルを抜いて斬りかかるが、エールではさほど高度を維持できないがゆえに、すぐに高度を落とすストライクを捉えきれない。その時、ニコルの死角から突然機銃が発射された。
「うわぁ!こいつ!」
「やったぜ!」
ひるんだニコルは、それがトールが乗る機体だった事を悟った。
しかしその時には既にストライクが再び飛び上がってきており、慌ててサーベルを構えなおしたその右腕を、ビームサーベルが斬り落とす。
「うっ…わあぁ!」
キラはそのままバランスを崩したブリッツを叩き落すと、ブリッツが残したグゥルに乗り、少し離れたイージスへと向かった。
(アスラン…!)
ついに残ったのは自分とアスランだけになった。
アスランはストライクの強さに舌を巻くと同時に、自分がこれまで、軍人としての訓練も受けていないキラに負けることなどありえないと思っていた事に気づいた。 
自分がキラよりも劣ると考えた事がなかったのだ。
アスランは、自身の中にそんな下卑た自分がいたことに、少なからず衝撃を受けた。もしかして私は、心のどこかでキラを見下していた…?

―― キラは、誰よりも強い。それも桁違いに。

「だけどっ!」
アスランはきゅっと唇を噛むと、ライフルを構えてストライクを迎え撃った。
そしてすれ違いざまに、サーベルを出して打撃と蹴りをくらわせる。
イージスの手足には一体型のサーベルがあり、キラは衝撃で弾き飛ばされた。
さらにイージスの澱みない攻撃が続くと、キラは使い慣れないグゥルではうまく避けられないまま、傷を増やした。
(アスラン…やっぱり、強い!)

「キラ!ソードを射出するぞ!」
その時、トールが再び飛び込んできた。
「トール!」
キラはライフルでアスランを威嚇すると同時に、ソードストライカーへの換装に成功した。
逆にダメージを受けたアスランのグゥルは飛行を続けられない。
アスランは苦し紛れに飛行能力のないMA形態に変形し、ストライクに向けてスキュラを放った。ストライクは至近距離からの複列位相砲をかろうじて避けたが、グゥルが破壊されてしまい、浅瀬に落ちた。
アスランはそのまま近くの小さな島まで滑空すると不時着した。
今の変形と攻撃でエネルギーゲージが危険域に近づいている。
(いけない、ダメージを受け過ぎた)
アスランは不要なシステムを切ってエネルギーの消耗を防ごうとした。
逆にストライクはエールからソードに換装すると同時にエネルギーチャージも受けているので問題はない。完全にこちらが不利だった。
「アスラン!」
キラは海から上がってくると、そのままイージスに踊りかかった。
「ぐっ…!」
体当たりされ、さらにはマニピュレーターでぶん殴られる。
(こんな戦い方を…!)
アスランは全く読めないキラの動きに反撃の糸口が掴めない。
 
「撃ち方やめ!ヤマト少尉!深追いするな!」
雑音混じりにナタルが止めるが、キラは止まらない。
(終わらせる…今日こそこんな戦いは終わらせる!もう、アスランと戦うのはいやだ!)
キラはマイダスメッサーを射出してイージスのエネルギーを削る。
そしてその攻撃にひるんだイージスにシュベルトゲベールを構えた。
「アスラン!もう下がって!あなたの負けだよ!」
「何を…!」
通信機から聞こえたキラの声に、アスランはカッと感情が逆流した。
「やめてよ、アスラン!これ以上戦いたくない!」
(情けをかけると言うの?)
あれだけの戦いをしておいて…あれだけの力を見せつけて…アスランはぎりっと唇を噛んだ。
「何を今さら!討ちなさい!あなたもそう言ったはずよ!」
アスランは激情のままに叫んだ。
「あなたも私を討つと!言ったでしょう!?」
アスランのこんな激しい言葉に、今度はキラがひるむ。
(確かに言ったけど…言ったけど…でも…)
それでもまだ、キラは構えたソードを降ろすことができずにいた。
命がぶつかり合う戦場の熱気が2人を包み込み、冷静さを取り戻す事を阻ませた。
次の瞬間、アスランはいつになく焦る手でシフトレバーを入れたが、それは力なく前に倒れこむ。
(…しまった!)
ダメージを受け続けたイージスがPSダウンを起こし、ディアクティブモードになったのだ。
それに気づいたキラは、ソードをやや下にさげた。
(アスランはもう戦えない…これで、アスランと戦わなくて済む…!)
その時、2人の間に黒い影が近づいてきた。
互いしか見ていなかった両者は、ミラージュ・コロイドによって姿を隠していた機体の接近に気づかず、キラは慌てて体の向きを変えてソードを構えなおした。

「アスラン、下がって!やああああ!」

そこには右腕を失ったブリッツが、ランサーダートを手に特攻してきたのだ。
アスランとの対決に集中し過ぎていなければ、キラはこんな手負いのブリッツなど、十分避けることができたはずだった。
けれどそれはあまりにも唐突で、そしてあまりにも捨て身だった。

―― アスランを…僕のアスランを守らなきゃ…!!

ニコルはその想いだけで飛び出した。
キラは気圧され、思わず構えたシュベルトゲベールを横に薙いだ。
まさに、コックピットの位置で…
「ぐぅっ…!」
刹那、ニコルは激しい衝撃を感じて眼を伏せた。
キラはブリッツの腹部に刺さったソードを抜く事もできず、呆然と後ろに下がる。
「こんな…私はこんな事をするつもりじゃ…」
「あ…あぁ…」
動けないアスランもまた、その悪夢のような光景を見つめていた。
「アス…ラン…」
しばらくはコックピットの強度に守られていたが、体は動かない。
ニコルは最期を悟り、無事な姿でそこにいるイージスを見つめた。

―― アスラン…よかった…僕…あなたが…

最後に微笑んだニコルの体が蒸発して果て、次の瞬間、ブリッツは大爆発を起こした。
破片が飛び散り、炎と黒煙が少年の魂を天へと返してしまう…
海から上がったデュエルとバスターも、仲間のあまりにも壮絶な最期を目の当たりにして、一歩も動けずにいた。
 
キラは首を振りながら、「違う、違う…」と呟いていた。
「…アス…ラン、違うよ…こんな…」

アスランはただただ、眩いばかりの光を見て呆然としていた。
しかしやがて彼女の心に残酷な現実が波のように押し寄せる。
そしてアスランはあらん限りの声で年若い友の名を呼んだ。
もう二度と会えない、優しい彼の名を…
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制作裏話-PHASE29-
思った以上に筆が乗り、思った以上にいい出来になったのではないか…と密かに思っているストライクとアークエンジェル最高の戦闘シーンです。
もちろんSEEDでは「キラVSアスラン」の対決が物語の山場ではあるのですが、あちらはせっかくのタイマンバトルなのに止め絵が非常に多くてちょっと残念なのです。

でもこのPHASEではバトルも結構見せてくれます。
特に名曲Meteorにのって、アグニを構えたストライクの後ろに、スモークをまといながらアークエンジェルがゆっくりと巨躯を現すシーン。
恐らくSEEDでも1.2位を争う名シーンだと思うんですが、私はここ、大好きなんですよね。格好よすぎる!(反面、即脱落するデュエルとかバスターとかあまりにも無様すぎるんですが、まぁ乗ってるのはあいつらなので仕方がない)

また、自分が闘うべきものは何なのかを自問自答するカガリに、父ウズミが道を指し示します。
彼の場合は今後為政者への道を歩むわけですから、やがて戦う事よりも「国を守り、民を守る」ことを見据えるようになります(なってもらわないと正直、困ります)

とはいえ逆種ではあくまでも「若様」で終わるのでここまででよかったのですが、問題は逆デスです。

逆デスでは、同じように戦場を見失っていたカガリが「守るためには、闘わねばならないこと」を忘れていた自分に気づく、という展開にしたのですが、実は逆種のこの時点では、カガリを逆デスでどう成長させればいいのか、正直、全っ然見えていませんでした。(それがまた逆デスを書くかどうか決めかねる要因でもあった)
実際には逆デスのキャラ(特に、カガリやキラの対照キャラとして、しっかり存在感のあったシン)に助けられ、帰結を見つけ出せたのはよかったです。

アスランがキラとカガリを思い出すシーンは、本編よりも少し人間的にしてあります。傷の事もね。
それにニコルの恋心。年下でも小柄でも、好きな女の子がすぐそばにいたらドキドキですよね。スーパーにぶちん娘のアスランは相変わらずてんで気づいてませんけど。

そのアスランを「ヤッちゃう?」などと不穏な言動をするディアッカ。もちろん本気ではなくて基本的には育ちのいいイザークの性格を見越してのことですが、悪いヤツですね、狡猾ですね、エロスマンですね。(そもそもイザークが予想に反して「やる!」と言えばやった…かも!?)
このへんは性別逆転ならではのセクハラ&パワハラ・スパイスを利かせてみました。

ランサーダートを持って特攻してきたニコルをキラが思わず殺してしまい、本編ではこれ以降、ヘタレたアスランが落ち込むたびに、ニコルは殺され続けるという永遠地獄に落ちます。もう忘れたれやアスラン…

本編で「母さん、僕のピアノ…」と言った彼のセリフは、アスランへの最期の想いに改変させてもらいました。可哀想なニコル。
になにな(筆者) 2011/03/20(Sun)18:09:35 編集

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